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エレベーターに到着を報せられて、いつもより薄暗い廊下に足を踏み出す。
幸い雨が入らず灰色のコンクリートに乾き始めた大きな靴の跡があった。
顔を上げ、自分の部屋がある廊下の奥の方を見れば長身の男が一人、ドアに寄りかかっていた。
一瞬足を止める。こちらがいることには気づいているだろうが、男は微 動だにせず、両手をスラックスのポケットに入れて立ち尽くしていた。
一度静かに大きく息を吸うと固くなっていた体が動き出した。
次第に狭まる距離にも男は動くことはせず、ただ軒の向こうの雨を見ていた。
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