始まりの日

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朝、いつも通りに会社の駐車場に車を停める。 外にでると、突風。 風に逆らって重いドアを強く閉める。 「あぁ、またか。」 私は、ぎゅっと身を縮めて立つ。 ふわりと巻いたマフラーに、目の下ぎりぎりまで顔を埋め、建屋の入り口を目指し、緩く長い坂道を上る。 駐車場から約5分程度のその道程は、冬場の木枯らしを小山や建屋の間をすり抜けることで増長させ、強い向かい風に変え、この季節は歩く者をよく困らせた。 ひっきりなしの強風と、時折起こる突風に、うまく呼吸ができない。たまに足元も危うい。 まばらな人影も、みんな俯いて、ただひたすら前に進む。 冷たくて肺が痛いな…息が苦しい… そう思った瞬間だった。 息が吸えない。何とかしゃくり上げるように小刻みに息をしようとするが、うまくいかない。苦しい…。 向かい風を避けるために、必死に体の向きを変えた。しかし、追い風に変わっても耳の周りで渦を巻く音は強くなるばかりで、苦しさに不安と恐怖が拍車をかけた。 助けて… 私は地面にうずくまった。 大丈夫?と、誰かが声をかけてくれ、私はそれに無言で頷き、そしてそのまま動けなくなった。
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