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今言ったように政府打倒組織、
通称レジスタンスの幹部、
そして、
政府行政執行部長、
つまり日本政府の政策を実施させる指示を、地方自治体に送る要職に就いている。
そう、俺はスパイなのだ。
なので、政府の人間でもある俺は、このあんこ論争の結果を各地域に徹底させねばならず、結論を待っていた。
結論のつけ方は様々だ。
基本的にルールは無い。
のり論争の時は、スティックのり派が圧倒的多数だった為、
統計を出し、液のり派に数を示すことで、話し合いで納得させた。
しかし、あんこ論争はそうはいかない。
こしあん派もつぶあん派もおおよそ同じ数だった。
だから五年半もの間話し合ったが、結論は出ず、
今日はとうとう確実に結論が出る方法が取られるらしい。
「さぁ。代表者二名が国会議事堂へと入って行きます」
スピーカーからは実況中継が続いている。
どうやら両派閥の代表者が国会議事堂に着いたらしい。
「さぁこれからくじ引きでどの方法で結論をつけるかが決められます」
強行決定の場合は、決定の方法をくじで決める。
「さぁつぶあん派代表、和菓子屋新月亭店主、金指以蔵(かなさしいぞう)さんがくじを引きます。
注目の結果は…今以蔵さんが紙を掲げました。
決定方法は『じゃんけん』です!」
じゃんけんと決まった瞬間「お~」っといったような声が近くの家から聞こえた。
ばかばかしいと思うだろうか。
しかし、これが普通なのだ。
揉めれば争い、勝負をつける。
この思想の導入の当初の目的は、
対外的競争力の向上、
つまり海外諸国と比較した時の、
日本人の気弱な部分を根本から変え、
最終的に国家間、個人間の国際的な交流を円滑にすることだった。
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