~決闘~

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「いや。 それじゃ勝ち目は無いし、やってることは決闘法と変わらない。 それじゃ意味が無い。 俺達の目的はあくまで決闘法の改正。 そこで、首相を確保し、解放の条件として決闘法の改正を提示する」 「その方法でいいのか?」 「これだから意味がある。不安か?」 「そりゃな。冷静に考えてリスクがでか過ぎる」 「まぁ実際一度失敗してるしな」 「あぁ…」 実は、レジスタンスは一度結成されていた。 今から約六年前。 それは決闘法の成立から1年経った時だった。 工藤蓮、松島栄作が率いる政府打倒組織。 通称レジスタンスが日本政府を相手取りクーデターを起こした。 理由は当然、決闘法を認められないというものだった。 今ほど決闘法は絶対視されておらず、 賛同者も多かった。 もちろん政府軍との間に戦力差はあったものの、 突然起こった暴動に国会議事堂は一時占拠され、 政府の要人達の何人かを人質に取るところまで成功した。 日々続く報道と、 レジスタンスの確固たる意志とに、国民の中にも賛同者は増えてきた。 決闘法の撤廃は時間の問題だと思われた。 しかし事態は一変する。 同時進行である事件が起きたのだ。 それは「工藤景紫、松島流音誘拐事件」 レジスタンスが議事堂を占拠してから三週間後の出来事だった。 二人は、自宅では危険だということで、 工藤蓮、松島栄作両名共通の知人宅に預けられていた。 その場所を知っているのはごくわずかの人間であった。 にも関わらず、何者かの手によって誘拐された。 犯人は政府の支持者だと思われているが、 結局捕まっていない。 さて、誘拐犯達の要求はこうだった。 「工藤景紫、松島流音と工藤蓮、松島栄作の身柄の交換」 それはつまり工藤蓮、松島栄作の投降を表していた。 当然レジスタンスは主要人物二名の身柄を簡単に引き渡す訳にはいかず、 交渉はもつれた。 しかし、結局工藤蓮と松島栄作はこの要求をのむことにした。
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