崩壊する日常

4/14
前へ
/502ページ
次へ
CF、コンバットフレームとは宇宙開発の際、ホーム開発の為に製造された人型の重機の事で元々はWF(ワークフレーム)と呼ばれていた物だ。 しかし今日では兵器としてのイメージが定着してしまい、コンバットフレームの名で呼ばれるのが一般的になってしまった。 さっき父の働く現場でそのCF同士の事故があり、父はその事故処理に出向いたというわけだ。 「母さん、着替えたら遊びに行ってくるね」 玄関を抜けリビングに入るとキッチンに母の姿が見えたので、アルギスは声をかけると鞄をソファの上に置いた。 「アル、帰ってきたらまずはただいまでしょ、ほんと親子そろって」 そう言ってアルギスの母は呆れたように肩を落とした。 「ああはいはい、ただいま」 母の言葉に適当に答えると、アルギスは二階に上がり自分の部屋へと向かった。 制服から私服に着替えお気に入りのネックレスを首に掛ける。  早々に身支度を終え、再び下に下りるとアルギスは玄関に向かった。 「あら、遊びに行くの?」 「ん? ああディジーとちょっと」 「今日は早く帰ってきなさい、大事な話があるから」 「話? わかった夕食までには帰れるようにする」 何の話かと疑問に思いつつも、アルギスはドアを開け外へ出た。 そして次に向かったのは自転車を置いていたガレージだ。 しかし、目的は自転車ではない、奥に置いてあるバイクだ。 バイトでこつこつ貯めた金で買った自分のバイクにまたがり、グリップを握る。 すると、ふと目の前にあるものが浮かび上がった、半透明の紙にも見えるそれには《指紋の一致を確認、起動開始》と写し出された。 量子ディスプレイと呼ばれる物だ。 この時代の電子機器、テレビや携帯に採用されてから長く使われている技術である。 グリップを捻るアルギスだったが、彼はふとさっきの事故現場の様子を思い出した。 直接見たわけではなかったのでまだ気になっていたわけだ。 「ちょっと見ていくか」 単なる好奇心だ、アルギスは再び燃え上がった野次馬精神に身を任せ、家を後にした。
/502ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1238人が本棚に入れています
本棚に追加