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アルギスが父の働く現場に到着したのは警報が鳴ってから数分の事だ。
しかしアルギスの予想通り、現場は混乱していた。
野次馬達は警報を聞いて火の粉を散らすように逃げたに違いないが、混乱しているのは現場で働く作業員達だ。
皆口々に「逃げろ!」と叫んでいた。
アルギスはクレーターの上から現場を見下ろしていたわけだが、いくら探しても父らしき人影が見えない。
「まだ事務所か?」
自分も逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、父を見つけたいという気持ちが、アルギスをそこに留めていた。
「アルギス君!?」
不意に名を呼ばれ、振り返ったアルギスはこちらに向かってくる男性を見つけた。
「ラツィオさん! 父さんは一緒じゃ無いんですか!?」
アルギスを呼んだのは父の部下だった。
プライベートでも付き合いのある人物である。
「僕も親父さんを探しているんだ 、アルギス君は早くシェルターに行きなさい、直にここは戦場になるぞ」
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