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アルカナフレーム、通称AFと呼ばれる機体は既存のCFと呼ばれる人型兵器とは根本から違う、‘装甲’‘パワー’‘機動性’‘武装’‘原動力’etc。
全長10m~13m程度のCFの全てを15mに及ぶAFは凌駕する。
作業機械が元のCFとは根本から違い、設計の段階から超戦闘特化型人型兵器として開発されたAFは、未だその全てを解明されていないと言われるアストラル鉱石をふんだんに使用している。
アストラル鉱石の使用によりCFとは次元の違う性能を獲得する事には成功したが、精製は難しく、それでいて希少なアストラル鉱石の多量使用、それに伴う莫大な経費により、生産台数は非常に少ない、よってAFは主に各軍のエースパイロットにのみ受領される機体となっている。
そんなエースの象徴たるAFと呼ばれる機体が目の前に佇んでいる、アルギスは逃げるのも忘れ目の前に現れた紅い機体に見惚れていた。
木星軍メディウスのエンブレムを肩に輝かせたAFの姿。
それは平々凡々と暮らす少年の目にはどのように映っただろう。
畏怖か、羨望か、絶望か。
さまざまな考えがアルギスの頭の中をグルグルと回っていた。
なぜ火星にメディウスが――
さっきの爆発はこいつがやったのか――
目的は――
逃げなければ――
グルグルと頭の中を回る考えが逃げると言う行動に達した瞬間、アルギスはハッと息を呑んだ。
「逃げなきゃ」
そう、目の前のAFの目的が何であれ、状況を見る限りこれはただ事ではない。
この街の領空に不法に侵入し、迎撃に向かった火星軍のCFを撃墜したのなら、この場所は直ぐに戦場になるかもしれない。
バイクのグリップを握るアルギスの手に力が加わる。
と、今まで動きの無かった紅いAFがアルギスの動きに反応するように首を動かした。
その様子にアルギスはギクリと肩を震わせた、紅い機体のカメラ、人間で言うところの目がまるでアルギスを睨んでいるように見える。
これはマジでやばい!
そう思った瞬間。
「アルギス! 何してる逃げろ!!」
不意に怒鳴り声がアルギスの耳を貫いた。
聞き覚えのある声に振り返るアルギス。
そこにこちらへ走ってくる父の姿をアルギスは見つけた。
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