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「郁ー?遅刻するよ?」
そう言って郁の部屋を訪れたのは、相葉 香織。
郁の唯一の家族だ。
父は郁が小さいときに離婚して居なくなった。
「…かあちゃん…水。」
モゾモゾと布団から這い出て、起き上がる。
酒を飲んだ次の日は物凄く喉が渇く。
「また飲んできたの?」
はい。と既に持ってきてた水を郁に渡すと、困ったように眉を下げる。
「お母さんはもう行くから、郁も学校行ってね。」
「大丈夫、行くよ?休んだことないじゃん」
空になったコップを香織に渡すと、背を伸ばす。
香織は、【Queen 】という高級ヘアサロンを経営している女社長。
郁のカツラもここで作っている。
香織はそそくさと準備をすると、仕事にいってしまった。
「さて、お風呂入ろ」
そう言って風呂場へ向かう郁。
只今、午前9時。
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