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全く進まない食事を諦めて、郁はパンを鞄にしまうと席をたった。
「眠いからサボる」
とにかく今は冷静に考えたい。
一人、屋上にでも行って落ち着くか。と思ったのも束の間。
直斗も付いてきた。
午後のチャイムが鳴り、授業の開始を知らせる。
「女神って本当何者だろ」
何人か生徒の残ってる屋上で郁達は寝転び、空を仰いでいた。
先に口を開いた直斗。
未だ女神の話を持ち出している。
「なぁ、直斗。お前が女神だったら探されてどうする?」
「んー?どうするかなぁ…」
郁が女神として町に出るのには意味があった。
探し出したい人が居る。
「…普通にしてるかな」
そう言う直斗。
「あ!やっぱり誰かに守ってもらうかも!女神ってさ、喧嘩しないじゃん。弱いのかも知んないし、守って貰うかも」
源さんにしてもらったようにと笑う直斗は、本当に源を慕っている。
確かに郁には喧嘩を出来るような力はない。
それでも、正体を突き止めようとするやつとは戦わなくてはいけなくなる。
助けを求めるしかないか。
「直斗。今日僕んち来いよ」
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