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「今日、黒龍が乗り込んでくるらしいよ」
どこからともなく誰かの声が聞こえた。
こんなに煩いクラブの中では、それが誰のものかなんて気にならないが、黒龍が来るなんて聞こえれば誰もが騒ぎ出す。
黒龍とは、ここらでは有名な暴走族グループ。ブラック ドラゴン。
チームを初めて組んだときは、違うチーム名だったらしいが、黒龍の暴走する姿が黒い龍みたいだと何時からかブラック ドラゴンと呼ばれるようになった。
全部のバイクを黒で統一し、派手な格好をしないところからも、来ているらしいが。
煩かったクラブが、黒龍の話題が上がり更に煩くなる。
金髪の男はフードを深く被ると、耳に手を当て、煩い声を遮断する。
バーのカウンターでただ一人、酒を飲んでクラブを見ているだけの男、通称:女神。
この男が女神と呼ばれるようになったのも、訳がある。
どんなに力の差があるところの喧嘩でも、この男が付いてるチームが必ず勝つ。喧嘩に参加することはない。ただ見てるだけで味方したチームが勝つ。勝利の女神。
そんな噂が飛び交い、女神には常に味方してくれと懇願してくる奴が絶えない。
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