‥01‥冬のおわりと三重奏

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「はい?」 僕も顔を上げて、僕らはまじまじとお互いの顔を眺めあう。 くしゃくしゃの茶髪に一重瞼。 どこにでもいそうな若い男だが、その瞳はどこかぼんやりと深い色をしていて、ここではないどこか遠くを見ているようだった。 「君は、昨日の」 「ああ、もしかして、公園で?」 「そうそう」 男は目尻を下げて大きく頷いた。 「よかったよ、あれ」 「それはありがとう」 僕は小さく頭を下げてビニール袋を受け取った。手の中でくしゃりと音が鳴る。 明らかに年下であろう僕がため口で答えたことにも全く構わずに、彼はレシートを出しながら、いい感じでにこにこした。 「今日もやる?」 「いや、今日はもう次のところに移動する」 「そうか、残念」 本当に残念そうに言う男からお釣りの十円玉をもらうと、僕は店を出た。 ありがとうございましたあ、という店員の声には、今度は心がこもっているように感じた。
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