‥00‥緑のぼうしと放浪者

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僕には世界でただ一人だけ、 心から尊敬する人物がいる。 彼は、緑色の帽子とレインコートを身につけて、ハーモニカを後生大事に所有している。 その他のあらゆるものは、彼にとってたいしたものではない。 彼には仲間がいる。 彼は彼らを大切に思っている。 けれど、彼が真に愛するのは旅と音楽だけである。 彼は自らの求める自由のために、すべてを捨てる勇気を持つ。 ハーモニカを除く、すべてを。 だから僕も旅に出た。 学校へ行くように何気なく、僕は住家の扉を開けて、閉めた。 白い空には、もう春が来ていた。
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