姉という存在

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「う・・・うそ・・・」 照らされる[小鳥遊]の文字。 私と色違いの同じ自転車。 間違いなく、姉の物だった。 「・・・運転手は飲酒運転でね、 今逮捕されて署に連行されたところなんだが・・・ 轢かれた被害者が・・・いないんだよ」 「え・・・?」 「現場には血も沢山残ってるし 被害者の所持物であろう物も散らばってるんだ だけど本人がまるで神隠しにでも会ったのかのように、ここに居ないんだよ・・・」 居ない・・・? 「じゃあ・・・私の姉は何処にいるんですか・・・?」 「今警察官総出で散策しているよ だけどあれだけ出血してるんだったら、そう遠くへは行けない筈なんだが・・・」 警察官は頭を掻きながらそう言った。 署の警察官総動員という大捜索網も展開されたが、その勢いも虚しく、姉が発見されることは無かった。 2週間もの捜索で、手がかりすら見つけることが出来なかった警察は世間の非難を浴び、捜査は打ち切られることとなる。 この日 私の大切なたった一人の家族 姉が、消えた。
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