幻想郷

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「・・・お姉さんに会いたい?」 暗がりの部屋の中から突如、声が聞こえた。 「!?」 声のした方向を振り向くと、誰かがいるのに気づく。 「・・・だ、誰・・・?」 おかしい 人なんてこの部屋にいれた筈はないし、玄関の鍵も閉まってる。 どこから、いつの間に? 「あら、そんなに驚かなくてもいいわ・・・私は貴方とお話をしに来たの」 話・・・? 「け、警察呼びますよっ!」 「あら、酷い事言うのね 別に構わないわよ?呼んでも その代わり貴方はお姉さんに二度と会えなくなるけど」 「!・・・姉を知ってるんですか!?」 この女性は姉の事を知っている。 警察は呼べない 姉の事を聞きたい・・・。 「ええ、知ってるわよ つい最近私があっち側に連れて行ったんですもの」 「なっ・・・お姉ちゃんを誘拐したのかッ!?」 「誘拐だなんて人聞きの悪い・・・ 車に吹っ飛ばされて死にそうだった女の子を 安全な場所に、医者に連れて行っただけの話」 「あ、姉は生きてるんですか・・・?」 「ええ、生きてるわよ」 女性は確かにそう言った。 姉は、生きていると。 心にかかった雲が晴れた気がした 誰も頼る人がいない自分には、今この女性しか頼れる人が居ない。 「あ、姉はどこにいるんですか!?」 「まぁ落ち着きなさい・・・ 電気をつけて頂戴、暗くて目が痛いわ」 「あ・・・はい」 私は天井からぶら下がるヒモに手を伸ばすと引っ張った。
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