姉という存在

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気がつくと、私は家の前に着いていた。 屋根に雪が積もって、今にも潰れんばかりの家だが、一度も壊れたことのない頑丈な家である、多分。 私は自転車を止めると、家の塀に立て掛け、カゴからバッグを引き出し、玄関に向かって歩き出す。 足取りは軽く、浮かれ気分。 私は玄関を勢いよく開け、こう言った。 「ただいまーっ!」 私がこう言うと、決まって聞こえてくる声がある おかえり、と いつも微笑みながら言ってくれる、姉がいる。 ・・・はずなのだが その声が聞こえる事はなかった。 家の中は静寂に包まれ、しーんと静まり返っている。 「・・・おねえちゃーん?」 返事はない。 出掛けたのだろうか・・・。 私はとりあえず靴を脱ぎ、部屋の奥へと歩いていった。
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