姉という存在

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いつもの居間に着いた。 広くない和室風のその部屋は、姉の手によって完璧に清掃されていた。 いつも見る光景なのだが、一つだけ違ったものが見えた。 ちゃぶ台の上に、なにやら紙が乗っていた。 A4サイズの紙を手に取り、確認をする。 [買い物に行ってきます。すぐ戻ってくるので、留守番をしておくように] 置手紙だった。 姉は買い物に出かけただけだったのだ。 「なんだぁ・・・」 不安が解消されホッと胸をなでおろす。 私は畳に寝転がると、来たる冬休みの期待と興奮を胸に秘め、瞼をそっと閉じた。 寒かったけど、暖房器具の無い生活は慣れてしまっているから、別に寝れない状況ではなかった。 昔は姉に膝枕してもらっていたのだが、今では流石にやらなくなった。 ただ、時々恋しくなる。 私は夢の中の世界に ゆっくりと沈んでいった・・・。
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