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突然のことに早智は目を丸め、左近を見上げた
その瞳には、戸惑いと恐怖がうつされる
左「アンタは独りぼっちじゃない。ツラいときは俺の胸を貸しますよ…」
早『さ…こっ、さま』
左「だから、そんな顔しないでくださいよ……アンタのそんな顔は見たくないからねぇ」
左近は苦笑しながら早智を起こしその小さな手に自らの手を絡ませる
早『そんなこと言われると…ホントに泣いちゃいますよ?』
左「それでアンタが笑顔になるなら安いもんですよ」
左近の言葉一つ一つが胸に染み込む
色々な感情が入り交じって早智の目から再び涙が零れる
どれだけ時間が経ったのだろうか
ようやく泣き止んだ早智の頬に左近は手をやる
真っ赤に潤んだ目に、左近は笑った
左「あー、こんなになっちゃって…かわいいねぇ」
悪戯っぽく笑いながら早智を押し倒すと顔をグッと近づけた
三「左近!貴様は髪を結うだけのことに何時間かけるつも…!?」
清「三成?何で固まって…!!?」
なかなか戻って来ない左近を心配した三成と清正は何の躊躇いもなく襖を開いた
しかし、その部屋の今の状況を理解するまでにかなりの時間がかかった
清「さ、左近殿…一体何を…」
二人の目に写ったのは、早智を押し倒す左近
しかも早智の目は潤み、泣いているのは一目瞭然である
三「くっ、計算外だ…!」
清正に遅れ、三成は状況を察すると直ぐに襖を閉め清正の襟首を掴み去っていった
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