幸せな時間

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早『ん~~ぁあ、よく寝たぁ!』 早智は朝の澄んだ空気を胸一杯に吸い込んだ 朝といっても、まだ陽も登っておらず、辺りは真っ暗である 懐にしまっていた携帯電話を開く 3月15日 画面の右上には今日の日付が書かれている 早(卒業式があったのが3月1日だから…もう二週間も経ったのか…) あの日、車にはねられたはずだった しかし目を覚ますとそこは病院のベッドの上などではなく、鬱蒼とした森の中だった そこでとある人物に拾われ、城の手伝いをさせてもらう代わりに暫くの間逗留することを許された 意気揚々と腕捲りをして台所へ向かう 早(んー、やっぱり大変だなぁ…) グツグツとたぎる鍋をかき混ぜながら考え事をする 左「朝早くからお疲れさん」 早智が満面の笑みで振り返る 顔を手拭いで拭きながら入ってきた左近の顔を見て、早智は思わず噴き出してしまった 早『おはようござ…っ』 左「…?どしたんだぃ?」 左近は首を傾げる 早『左近様、寝癖が凄いです』 苦笑しながら早智は左近の髪に手を伸ばそうとする しかし頭一つ以上高い左近の髪にはどれだけ背伸びをしても届かない 左「あー…今忙しいしょ?終わってからでいいから」
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