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慶応三年、三月二十一日
この日は昼頃から雨だった
外に出ていた沖田は
少しだるさが残る体を寺の柱に預け
雨宿りしていた
(土方さん、迎えに来てくれないかな)
空を見上げると
雲は暗く
しまいには雷までなってきた
「───だから───てね」
とぎれとぎれにきこえる声の元に行くと
目に飛び込んできたのは
桜色の着物
(泉ちゃ……
違う…泉ちゃんは死んだんだ…)
「私もここにいるから大丈夫
ずっと一緒だって
約束したでしょ」
(…泉ちゃんと重ねるなんて…
まだ泉ちゃんが好きなんだ)
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