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気分が悪い。
ビリーはお腹を摩りながら、今朝、優越感を食べ過ぎたことを後悔した。吐きそうで吐けない、嫌な状態だった。
「ぴよひよ。カエルはいつも子守唄でハイジャンプだぜ!」右腕の上腕二等筋が嘲笑しながら言った。「クラッカーが服を着たってトイレは水洗にしてないぜ」
共鳴するように、左手の親指の爪の先端部分が泣き声をあげる。「切らないで!切らないで!お赤飯のお豆さんも残さず食べるから、ボクを切らないで!」
ビリーは耳を塞いで"声"を聞こえないようにした。が、今度は鼓膜が喋りだした。
「へへっ。奥さん、いいだろう?実は興奮してるんだろう?へへっ」
「ダメよ、ダメよ。あたしは夫のある身です。こんなことはいけません」
「へへっ。ダメよダメよもイイの内ってかい。へへっ。」
「あーれぇ~」
ビリーは鼓膜の声を聴いていると、無性に悲しくなり、涙が溢れ出してきた。
ああ、俺はどうしてゴンザレスではなくビリーなのだろうか?
悲しみがビリーの足元に渦を作り、渦は竜巻を作り、竜巻は黒雲を呼び、黒雲は雨を降らせた。
世界が浸水する勢いで雨が降り、水嵩が増し、妖精達は森へ逃げていく。
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