傍惚れ

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2. 僕の目線の先にいる、伊達。 今日も笑ってる。 あ、欠伸してる。 退屈な授業を聴いているよりも、ずっと、好きな人を見ている方が楽しい。 そんな事を考えている僕、宇井瞬は、そんなに有名でもない、ましてはそんなに偏差値が高いわけでもない大学の社会学部、心理学科に通う普通の学生だ。 よく、こんな授業を3年も受けてきたなと思う。 全く、自分を褒めてもバチは当たらないのではないか。 「…ぉぃ、おいっ、瞬!」 「ひっ!…って、お前かよ。」 気付くと、何時もテンションの高い…認めたくはないが、高校からの付き合いの弁(のぶ)がいた。 「いや、ちょっとお願いがあってさ~」 「何だよ。合コンなら、行かない」 「…。何でわかった?」 「…分かりやすいんだよ。ていうか、僕らは心理学科の生徒なんだし」 「あぁ!そっか~。で、飲み会いかない?あの、伊達ちゃんも来るんだよ~」 「…いく」 「りょ~かい。じゃあ、詳しいことは、メールするわ」 これで、伊達と話せるかな…。 僕は初めて飲み会に行くのが楽しくなっていた。
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