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山下知哉がオンラインゲーム『エッジライン』を始めて2週間が経とうとしていた。
始めは友達に勧められ試しにやってみようと思ったのがきっかけだった。
7月17日
夕暮れ時、知哉は幼馴染みの坂上千里(さかがみちさと)と一緒にお別れ会の準備をしていた。何故この時期に?と思う人もいるだろうが夏休みの前に転校する人がいるからということ。そしてその転校する人が知哉と千里ととても仲が良かった為、二人は自らお別れ会のリーダーには千里、補佐に知哉が立候補した。
「知哉~!ねぇねぇ、このオンラインゲーム一緒にやらない?ぜ~ったい、面白いと思うの。だから一緒にやろ♪…というよりやりなさい」
「千里、俺は忙しいんだからそんな物やってる暇なんて無いんだっつの」
「いいじゃん、少しくらい息抜きよ。い・き・ぬ・き」
「だから俺は…」
「ちなみにこれは先輩命令で逆らったらどうなるかな~♪」
「……わかりましたよ!!やりますよ!!やればいいんでしょ!!」
知哉は昔、千里の先輩命令を1回だけ逆らった事があるがその後千里の見事なまでの大外刈を受けたというひどい思い出がある。
その日以来、知哉は千里の先輩命令のみ逆らわなくなった。
「ん、よろしい♪では、このソフトを君にあげるから家に帰ったらすぐにやりなさいよ、わかった?」
「はいはい、わかりましたよ。…おっと、もうこんな時間か。そろそろ電車が来るから先、上がらせてもらうわ」
「今日もお疲れさまでした~。じゃあね~」
知哉と千里の入っているパソコン研究部、通称"パソ研"では顧問がほとんど来ないのでただひたすらOVAを作ったり攻略WIKIを更新したりと中々スペックの高い人材が集まっている。その中でも特に知哉、千里、そして今回のお別れ会の主役である東藤伽凛(とうどうかりん)もそんな"パソ研"のエースだった。
「ただいま~っと」
知哉が自宅に帰るときには、もう外は暗くなっていた。知哉の家には殆ど両親がいない。理由は仕事がとても忙しいからだ。父はIT企業の社長、母はファッション関連の仕事をしており今も二人は世界を飛び回っている。
パソコンに千里から貰ったソフトを入れインストールを始める。インストールしている間に御飯や風呂等を済ませておく。
そしてインストールが終わり
ゲームが開始される
これが知哉が初めて『エッジライン』に関わりを持った日だ。
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