6人が本棚に入れています
本棚に追加
「げっ……」
ゴールデンウイークに入る前、およそ三日ほど前の朝に夏樹キッチンで叔父と対面してしまい、思わずそんな声が漏れてしまった。
京都はジーンズにセーター。そのうえにエプロンといった格好をしており、何やら料理に勤しんでいた。
京都は基本、綺麗好きなのか。身嗜みに関しては驚くほど豆だ。髭なんかもこまめに剃っているみたいで小綺麗にしている。
京都を知っている女性は、おじ様と呼ぶくらい。
なんというか、ナイスミドルとでも呼ぼうか。
飄々としていて、わりと背が高い。
有名人で言えば誰だろうか?
夏樹は有名人で例えれば分かりやすいと思ったが、実はテレビなんかを好んで観ない。
というより娯楽全般には疎いのだ。
「うん? 夏樹ちゃんも朝食? なんだったら一緒に食べるかい?」
夏樹に気づいたのか笑顔で食器を用意している京都。
「……いただきます」
わざわざ自分で作る手間やらを考えて、いただくことにした。
夏樹は料理もそこまで得意じゃないから願ったり叶ったりだ。
京都は手際よく準備をすませ、食器を並べる。当然、向かい合って食べる事になった。
「今日も学校?」
「そういう叔父さんは今日も暇なんですか?」
ここ一ヶ月。京都は仕事をしている様子はなかった。探偵と言っても、忙しいわけでもなく。基本暇らしい。
それに、仕事が入ったとしても浮気調査や、ペットを捜す程度。
それを知っているので、憎まれ口のつもりで言ったのだが、返ってきた言葉は予想外なものだった。
「今日は暇だけど、次の大型連休は仕事が入ってね。北海道に向かう事になった。どうだ? 夏樹ちゃんも助手ってことで行かないか?」
「は?」
驚く夏樹の顔を見てニヤニヤしている京都。どうやら驚く夏樹を見て楽しんでいるようだ。
最初のコメントを投稿しよう!