曽根崎という男

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「どんな仕事ですか?」 「北海道。ああ北海道。良い響きだね。北海道に似合うのは俺以外考えられない。ああ、ただ蟹と木彫りの熊には敵わないかな?」 「どんな仕事ですか?」 夏樹は再度、強い口調で尋ねた。 すると京都は渋い顔になった。 「まあそう焦らなくてもいいじゃない? 別に教えないって言ってる訳じゃないんだし。俺の世間話くらい聞いてくれてもいいだろう」 「世間話なら友人とでもやればいいじゃないですか」 「生憎、友人はいない。いや、知人はいないって言うべきか? しかし今の若者はこんなサバサバしたものかね。もっとチャラいのが普通だと認識してたものだが。いや、夏樹ちゃんも含めて普通じゃないってことか」 本人がいるまえで普通じゃないと評価する京都も普通じゃないだろう。 夏樹がその辺りも含めて京都を睨んでいると京都は意味ありげに笑う。 「殺人だとよ。込み入った事情があって警察じゃ相手にされないから俺に鉢が回ってきたわけだ」 「殺人、ですか」 夏樹の中で正義感が湧いたが、急いでそれを振り払う。 「どうだ? 警察志望の夏樹ちゃんには魅力的な話だろ? こういう経験は重宝すると思うんだが? どうだい? 一緒に行ってみないかい?」 「結構です」 「飯も美味いぜ? 温泉もあってノンビリできると思うがね。ああ、こういう考えもオッサン臭いって言われるのか」 「駄目です。大体学校があるから行ける訳ないです」 「だから今度の大型連休にって言ってるんだろう? いわば助手さ」 「休みは無いですよ。連休でも学校はあります」
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