曽根崎という男

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北海道への飛行機に乗る前に、搭乗口で京都と夏樹は軽い口論になっていた。 「なんでスーツなんだい?就職活動でも何でもないだろうに」 「叔父さんが適当過ぎるだけです。仕事なのですよね? 私が普通なんです」 「おばさん臭いね」 「失礼ですね。まだ私は19歳になったばかりです!それを言うなら叔父さんがのほうがセンス悪いですよ」 「そうかな?俺はスーツなんか着飽きたからね。その点夏樹ちゃんは着なれないだろうね」 京都は嘲笑とも取れる笑いを見せた。 冷たい態度、子供扱いと夏樹はさらに不機嫌になる。変に言い返しても言い負かされるだけだ。 それを知っているから余計に腹が立つのだ。 京都の言う通り、夏樹は士官学校の面接位しか着たことないのだ。 ハイヒールなんか何が良いのか分からない。 足がいたいだけだろうに。 夏樹は不機嫌なまま飛行機へと乗り込んだ。
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