PROLOGUE

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月の光も木々の葉に邪魔されて通らない殆ど真っ暗な獣道を一人の少女が駆けていた。 色素の薄いショートカットの髪は汗で前髪が額に張り付き、葉や枝がくっついている。 身につけている白いワンピースは走っている途中に枝に引っ掛かったのか所々破れており、白い地肌がのぞいている。 靴ははいておらず足は土まみれになっていた。 その、裸足で駆ける少女の後ろから怒声と共に追い掛けて来る甲冑を身につけた男達。 「はぁ、はぁ、」 どれくらい全力で走ったのだろうか、少女の息はかなり上がっており男達に捕まるのも時間の問題と思われた。 と、夜が明けはじめたのか少女の前に見える木々の隙間からうっすらと光が射しはじめた。 (あそこまで行けば…!) 少女は転がるようにして獣道を出た。
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