陰陽道其の一

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今日は俺、阿部清明の17歳の誕生日だ。誕生日だからって特別な事は何もない。 いつものように学校に行って、いつものように授業を受けて、いつものように帰る。 俺のちょっとした期待はことごとく打ち砕かれる。クラスメートからは誰からも祝われない。そりゃそうだ。俺以外の人には何1つ変わらないただの火曜日。 俺は少し泣きそうになりながら、下駄箱に最後の希望を託し覗き込んだ。 ……うん。帰ろう。下駄箱には、もちろん誕生日プレゼントはなく、俺は履き慣らしたスニーカーを取り出した。 「おい、清明」 うずくまりながらスニーカーを履く俺をイケメンな声が呼んだ。振り返る俺に小さな箱が飛んできた。 「清明、今日誕生日だろ? バイト代1ヶ月分だぞ、それ」 箱を開けると高そうな腕時計が入っていた。 「俺の好きなブランドなんだ。大事にしろよ。じゃあ部活終わったらメールするわ」 そう言うと陣は部活の仲間と一緒に歩き始めた。 「じ、陣、あの、サンキューな」 俺は誕生日プレゼントの、俺の自尊心を守ってくれたお礼を言った。 訂正しよう。特別な事はあった。親友が腕時計をくれた。俺はこの時計と陣を大切にしようと誓った。
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