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「清明、今日はお前の誕生日じゃな。…いくつになった?」
「…17」
いつもと違い真剣な顔のじいちゃんに少し萎縮気味に答えた。
「そうか…。阿部家に代々伝わる習わしでの、齢17を迎える男児に、阿部家の家業の秘密を伝え、またその家業を継いでもらう敷きたりなんじゃ」
「阿部家の家業?」
「そうじゃ。お主は陰陽師は知っとるか?」
「陰陽師ってあの、札とか使って妖怪とかを倒す奴?」
「まぁそれも間違っておらんが…。では、安倍晴明はしっておるか?」
「あぁ、映画とかに出て来た陰陽師のカリスマ? みたいな人?」
「では、お前の名前は何じゃ?」
「…阿部清明。
……って、まさかうちの家業って陰陽師? えっ?もしかして、俺の先祖はその映画になった安倍晴明なの? だから、俺の名前って似てるの!?」
俺は映画とか漫画の主人公になれるかもしれない期待からか、興奮していた。
「どうなんだよ?じいちゃん?!」
「……違う!!!
お前の先祖は安倍晴明ではなく、安倍晴明に憧れる売れない陰陽師じゃ。お主と安倍晴明はまったく関係ない!!!」
「…えっ関係ないの?」
(じゃあ何で俺の名前を聞いたんだよ)
俺はつっこむのを我慢した。
「阿部家の先祖は売れない陰陽師での、それだけじゃ食べて行けないから嫁さんのパートの稼ぎで暮らしておったんじゃ。
その当時はの陰陽師はなりたい職業ランキング1位を10年連続で獲得するほどの人気ぶりでの。中でもスーパースターの安倍晴明や賀茂光栄の誕生により、その人気に拍車をかけたんじゃ」
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