過去の記憶

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とある屋敷の中庭でぼーっと空を見上げる少年。 そこにゆっくりとした口調で「拓ちゃん、なにをしいてるんだい?」と声が掛かる。 そう呼ばれた少年は振り返り声の主の初老の女の元へ駆けて行く。 「あのねいま空に黒い丸があったんだ」 少年はにっこり笑いながら指さす。 しかし空は雲すらない晴天 「そうかい、お前には見えたんだね…」 女は少年に近づき悲しそうに微笑んだ。 「拓ちゃんには夢があるかい?」 「あるよ。大きくなったらおばあちゃんみたいに皆を悪者達から守るんだ。」 少年は目を輝かせて夢を言った。 「そうかい、私みたいにかい。」 女は少し暗い表情になり 「きっとお前なら成れるさ私より強い正義の味方にね」 女は少年の頭を撫でながらそう言った 「良くも悪くもお前は私と似てこの一族の血が強い。だからきっと………」 女は空を見上げ誰にも聞こえないほど小さく呟いた。
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