想いは桜色

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   俺は気まずくて、踏み出そうとした足を引いた。  でもその時、ふと目に入った、飛鳥ちゃんの足元に落ちたノート。剣介に影響されたんだろうか、おせっかいの魂が俺に「拾ってあげろよ」と呼び掛けた。 (拾うくらいなら、構わないよな)  俺は飛鳥ちゃんを起こさないように、静かに近付いてノートを拾う。 (ん?)  別に見たくて見た訳じゃない。けれどノートに書いてある絵が、たまたま目に入ってしまった。 (これ、飛鳥ちゃんと俺?)  ノートに書かれているのは、手を繋ぐ俺と飛鳥ちゃん。飛鳥ちゃんの横には吹き出しがあって「先輩大好き!」と書かれていた。  先輩……って、これ、逢斗じゃなくて、俺だよ、な? (そっか、それなのに俺は、勘違いして)  全部、誤解だったんだ。なのに俺は一人で勝手に結論付けて、距離を置いた。  飛鳥ちゃんの気持ちが嬉しい。自分の情けなさが悔しい。ごちゃまぜの感情は、とにかく頬に熱を集める。  
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