想いは桜色

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  「ありがと……あ、このカード、俺の似顔絵!? すごい、絵上手いんだね、飛鳥ちゃん。クッキー、食べてもいい?」  手作りのクッキーだけでも嬉しいのに、カードには手描きの、デフォルメされた俺の似顔絵。剣道しか出来ない俺と違って、飛鳥ちゃんは凄いな。  俺は気持ち悪いくらい目尻を下げて、クッキーのリボンを解く。鼻孔をくすぐる甘い匂いが、練習終わりでペコペコになった俺の腹を刺激した。 「そ…それじゃ失礼しますι」  すると飛鳥ちゃんは、突然身を翻し、走り去る。 「あ、飛鳥ちゃん!? あー……行っちゃった、か」  ……クッキーのお礼、もうちょっとちゃんとしたかったんだけどな。  俺は飛鳥ちゃんの去っていった道を眺めながら、とりあえずもらったクッキーを頬張る。さっくりした歯触りで、適度に甘くて美味しかった。  けれどほんのり甘い空気は、一瞬で壊される。  
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