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竹刀を固く握り締めながら、力説するこの幼馴染み。応援してくれるのはありがたいけど、こっちにもペースってものがある。
(告白、か)
飛鳥ちゃんが部活を見に来れば、そこで話して。こうして差し入れを貰ったりして。もし告白して振られたら、今の楽しみだってなくなってしまう。
(まだ無理だ……今のまま、もう少し)
「今のままもう少し、なんて思ってるんだろ」
グダグダと説教をかましていた剣介は、心を読んだかのように、俺の気持ちを当てる。
「悠長に構えて、他の奴に取られても知らねーぞ。例えばアイツ……逢斗とか、飛鳥ちゃんを気にしてるみたいだぜ?」
ああ、もう面倒臭い。俺はもう、剣介を無視して自転車置き場へ向かった。
「待ちなさいヨ浩ちん、アタシこのままじゃ許さないワよー!」
……今思えば、剣介のアドバイスはいつでも適確だった。あの時告白していれば、また運命も変わっていたかもしれない。
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