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一年前と変わらない校門。きっとこの先、閉校するまで変わる事のない校門が、旅立とうとする今年の卒業生達を見守っている。
歩いて来る卒業生の中にいるはずの『彼女』を探して、俺は目を凝らした。
平和なんてものは、案外簡単な所から崩れていく。俺にとっての崩壊は、剣介の一言から始まった。
「なぁ、この大学の資料なんだけど、逢斗に渡してくれないか?」
剣介は、逢斗をあまり良く思っていないらしい。正直俺も、それほど好きじゃない。
「頼むよ、部長さん」
けれど俺は剣道部の部長で、逢斗は部員。そう頼まれれば、断る訳にはいかなかった。
「逢斗は、二年生の教室に行ったみたいだぜ」
そんな曖昧な情報を元に逢斗を探して、やってきたのは飛鳥ちゃんのクラスだった。
(ちょうどいいや、飛鳥ちゃんに逢斗の事を聞いてみよう)
俺はそう思って教室を覗いたけれど、そこには見知らぬ後輩と飛鳥ちゃんの友達しかいなかった。
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