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「で、どうでしょうか?」
「このペンダントはダメ。借り物なんです」
「借り物…。そうですか」
それを聞いた栗色の人は、急に思案顔になった。
「あの…、お金は少しずつ、必ず全額返しますから…!」
私は必死に頼み込む。
「分かりました、それでいいですよ。
…!…では、先を急ぐので」
栗色の人はそう言うと、まるで何かから逃げるようにその場を離れていった。
「行っちゃった…」
名前とか聞いてこなかったけど、私が逃げるとは考えなかったのかな?
信頼…?いや、初対面に対してそんなわけないだろうし…
「…………グルル」
「!?」
すぐ後ろから唸り声が聞こえる。
後ろを見ると黒くとても巨大な熊が立っていた。
「え…?」
黒い熊…?いやこれは図鑑で見たことがある。
…この魔物は…。
「まさか、…ベリアルグリズリー…?」
「グルァァアアアッ!!」
声に呼応するように黒い熊は咆哮する。
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