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1943年、アメリカ合衆国某所。
「ケビン、開けなさい。そろそろ学校よ。」
赤毛で中年の女性が、英語でケビンの部屋と書かれた木製の札を掛けているドアを仕切りに叩いていた。
「待って、お母さん。待っててば。」
中から男の子の声が聞こえてくるが、母親はお構いなしにドアを叩いた。
「だったら、早く鍵を開けなさい。」
母親の声が大きくなり、ドアノブをガチャガチャと回し始めたが、開く気配はなかった。
(どうしよう、お母さんにこんな姿が見られたら。)
部屋の中にいる8歳くらいの金髪の少年・ケビンは自分の姿を見て頭を抱えていた。
(早く、隠さなきゃ。)
とりあえず、ケビンは近くにあった毛布を頭から被ることにした。
そして、ドアの鍵を開けた。
「ケビン、閉じこもってどうしたの?」
母親が中に入るとそう尋ねた。
「ゴホッ、ゴホッ。風邪を引いちゃったみたい。今日は学校に行けないかな。」
ケビンは二、三度咳をすると、気だるそうな顔を母親に見せた。
「そうなの?うーん、確かに具合悪そうね。良いわ、今日は休みなさい。」
母親は少し考えて、少し苦笑いをして答えた。
(良かった、この場はなんとか乗り切った。)
ケビンはホッと一息たて、眠りにつこうとした。
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