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「リサ、大佐に電話だ。」
ケビンの部屋から出るとマイクは一回深呼吸をして、妻のリサに告げた。
「………はい。」
リサは息子の変わり果てた姿にまだ戸惑っていたようだった。
「リサ、気持ちはわかるがしょうがないことなんだ。」
マイクはリサの両肩に手を置いてリサの目を見つめていた。
リサの目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「どうして、うちの子が選ばれたんでしょうか?」
「仕方がないことなんだ。良いかい、これは名誉なことだ。ミュータントが出た家庭は血統保護のために一生裕福に暮らせる。大佐がそう言ってたじゃないか。」
涙を流すリサをマイクは強く抱きしめてなだめた。
「私はあんな実験を子供に平気でやった国が許せないんですよ。名誉も富もいらない、私はケビンと静かに暮らしたい。」
リサは涙を拭うとマイクを抱きしめ返して語尾を強めた。
「わかった、大佐には私から言う。君は少し休んでなさい。」
そういうとケビンはリサに背を向けて、リビングに向かった。
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