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この世界アスタルムに一人の女帝が玉座に座った。
女帝の名、フィリスティア・リストゥール・アルテ。
弱冠21歳の若き女帝。
前皇帝が亡くなられてから、実にひと月あまり玉座に不在だったことは、女帝の具合が優れなかったから…とされた。
その実は皇女が拉致された
だが帝国の名誉の為その事実は伏せられた。
誰が彼女を連れ去り、誰が彼女を救ったのか。
……今や事実を知るのは僅かの人間だけ。
そして彼女を助けた『ある人』が、今だ行方がわからないのは、ほんの一握りの人間だけが知っている。
『あの人』。
ルカ・ラーティス。
彼女は今どこでなにをしているのか、わからない。
ただ、皇女奪還のときにいた人間は誰一人として忘れていない。
彼女の髪が白く、瞳が赤かったことを。
その姿はまるで、神でもあり悪魔でも見えたことを忘れていない。
そしてこの時はまだ、誰一人として気付かなかった。
それが引き金となり、世界が混乱していくことを…。
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