41人が本棚に入れています
本棚に追加
.
**帝都リストゥール、騎士団本部会議部屋
「…そう…ですか」
帝国騎士団隊長シグルド・クロスフォードは、同じ隊長であるクラノス・アズスールの言葉に意気消沈になる。
それを見たクラノスはシグルドの背中に、気合いの一発をくらわす。
「落ち込むなよ!シグルド」
「ク、クラノス隊長…」
シグルドは焦った。ここは騎士団。いくら親しい中でも、砕けた口調で話していては注意される。
だが焦るシグルドをよそに、クラノスはなんでもないに言葉を続ける。
「大丈夫だって!アイツは必ず戻ってくるさ」
呑気な言葉に、シグルドが「でも…」と眉をしかめる。
「あれから半年経つのに…」
そう…、女帝がついてからすでに半年経った。なのに…。
「ルカの行方がわからないなんて…」
今にも泣きそうに顔を歪めるシグルドとは逆に、クラノスは穏やかな顔で窓から外を見る。
「…アイツは必ず帰ってくるよ、必ず」
シグルドはハッと顔を上げる。
クラノスの様子が少しだけちがったことに気付く。
.
最初のコメントを投稿しよう!