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のんきにそう答えた…でなく、心のそこから絶対であると感じさせる口調だ。
「アイツ、下町の人間が大切だからな」
言われて、思い出す。
確かに皇女奪還のときも下町の人間が大切だと言っていた気がする。
「ルカとクラノス隊長は幼なじみ…ですよね」
「ああ、そうだよ。小さい時からよく知ってる」
そう語るクラノスの表情はとても穏やかで、優しさを感じられた。
そしておもむろにシグルドに視線を合わせると少し目を細める。
「シグルド。ルカが好きか?」
「え!?」
突然のことにひどく動揺してしまったシグルドに、クラノスはいつものように笑い始めた。
「いや、人間としてルカが好きかってこと」
その言葉にシグルドは冷静になり、少し頬を赤らめて頷く。
「…でなければ、毎日気に掛けたりはしないですよ」
シグルドの言うことは的を射ている。
「…アイツは腕輪外したんだろ?」
「…はい」
「ならアイツの『あの』姿、見たんだろう?」
シグルドは頷く。
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