The first company

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 考えながら歩く神楽の耳に、クラクションは届かなかった。気付いた時にはもう、エンジン音が近くに聞こえる。車体を確認することはできた。だが、力を使う暇さえなく、目の前に現れた二つの光は、神楽目掛けて止まることを知らなかった。  ブレーキ音が響く。もうだめだと思って、固く目を瞑った。 「……」  筈だった。しかし、景色は一変し、今度は別の建物の中にいた。 「何してんだ、お前」  詳細は分からない。だがすぐに同じ匂いに気付いた。別の場所に飛ばされたと気付いたのは、それから数十秒後の事だった。  同じだから気付いたのだ。目の前の男は、力を発揮した。 「あんた、何者だよ……」 「助けてやったのにずいぶんじゃねえか」 「助けてくれなんて言ってない」 「これで同じ地下人ねえ。信じられねぇ」  目の前の男は呆れる様に言う。 「ミカエルとラファエルに捕まったようだな。霊気が纏わり付いてら」 「そんな事より此所どこだよ」 「俺んち」  ――だから、あんたは一体誰なんだよ!  口から出掛けた言葉も、声になる事はなかった。 「あの双子には気を付けろよ。なんつったって、片割れが天上長なんだからな」 「……」
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