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また、眠っている彼に歩みよる者も、その理由なんぞ知る由もないのであった。
月明かりに淡く照らされる1人の影は、静かに、5000万シエルに静かに近づく。
だがどんなに注意して歩いてもここは瓦礫まみれの居住区跡、足を進める度に少なからず石のジャリッという音が出てしまう。
その音にクロウ=B=ラックが気付かない筈が無かった。
足音…1人だな…
誰かが近づいていることに気付いても、何故かクロウはその場から逃げようとはしない。
目を瞑り、寝たふりを決め込んでいる。
残りはあと数歩。
クロウとの距離はもう無いにも等しい。手を出せば触れることができる距離だ。
影はそこで足を止め、横たわるクロウを見つめる。
「あれぇ、クロくん寝てる?」
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