たまねぎの夜

2/2
前へ
/2ページ
次へ
最後の50円で たまねぎを買った レジには イカした姉ちゃんがいて おれはいつも 目をそむけ 自分の 汚れた靴を 見てしまう 彼女がわたしてくれた たまねぎは ただの たまねぎじゃ なかった ちょっとだけ あったかい 気がした もちろん 気がするだけ なんだけど 部屋に帰って 灯りは付けず 古いブルースの レコードに 針を落とす たまねぎを がりりと 噛んだ あの子を おもいながら そしたら 涙が出たよ 冷たい涙 苦い涙 だったよ ああ 虚しき恋 って ノイズまじりに レコードが 歌ったよ
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加