異世界

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野球部のエース片山の隣に座る轟謙二(とどろき けんじ)の最後に見た光景は、強く青白い光を放つ東京タワーだった。 これからこの物語を語る時には、この轟を中心に語っていくので、名前を覚えておいてほしい。 轟たち、名古屋にある田山高校の面々は、薄暗い巨大な部屋の中に居た。 部屋の真ん中すり鉢状になっている、底の部分に轟たちが乗ったバスがポツンとあった。 バスが乗っているのは、円盤型の石に幾何学的模様が書かれた舞台の上。その舞台を見下ろす為に、360゚グルリと舞台を囲むよう設置された観客席から、歓声があがる。 舞台を囲んでいる白銀の騎士の一角が割れ、その間から、杖を持ち黒いローブを着込んだ人物が現れる。 ローブの人物は、バスを触りながら何かを確かめるように、歩いて回る。 「ほぅ。此れが自動的に走る鉄の乗り物か。聞いていたより、随分大きい。」 独り言を言いながら、バスの前方に移動すると、両手を掲げると、宣言する。 「さぁ英雄たちのお出迎えをしようではありませんか!」
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