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予想通り、灰音は顔を真っ赤に、頬は膨らませて
「バ、バカ!そんなんじゃないわよ!
た、ただ……いつも見慣れてた、成績上位者表の1位の名前が変わったら、見にくくなるって思っただけよ!」
と、もはや微笑ましく思えるほどに見栄好いた言い訳をした。
相変わらずのツンデレです。
「あー、転校生だ」
「いや、もう自己紹介まで終わりましたよ」
「じゃあ終了。
帰るわ」
「え、ちょっ……」
このクラスで唯一、黒川先生という人を知らない知佳は、鮮やかなまでのカムアンドバックホームを魅せた男を呼び止めようとした。
もちろん、栓無きことだ。
「……担任の先生、帰った……のよね?」
「大丈夫。それが正常な反応だよ。
みんな、最初はそんな感じだった」
シンクロ率400%オーバーの黒川学級は、懐かしむようにしみじみと深く頷いた。
「……学級委員長の方は、いつも対応はどうしてるの?」
「え?」
黒川学級の学級長、影薄君(仮名)は、唐突に質問されて答えにつまる。
「あなたが、学級長なのね。
これでは授業が成立していないわ。
指示したりしないの?」
「い、いやー、まあ各自自習してたらいいかなと……」
「そんなの、学校という環境があるのに、非効率的だわ。
今日一日でいいから、私に任せてもらえないかしら?」
クラスのみんなは、その自信たっぷりな言い様に、あっさりと承諾した。
て、転校初日から、なんだこのカリスマ性は……!
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