第1話

15/17
前へ
/197ページ
次へ
予想通り、灰音は顔を真っ赤に、頬は膨らませて 「バ、バカ!そんなんじゃないわよ! た、ただ……いつも見慣れてた、成績上位者表の1位の名前が変わったら、見にくくなるって思っただけよ!」 と、もはや微笑ましく思えるほどに見栄好いた言い訳をした。 相変わらずのツンデレです。 「あー、転校生だ」 「いや、もう自己紹介まで終わりましたよ」 「じゃあ終了。 帰るわ」 「え、ちょっ……」 このクラスで唯一、黒川先生という人を知らない知佳は、鮮やかなまでのカムアンドバックホームを魅せた男を呼び止めようとした。 もちろん、栓無きことだ。 「……担任の先生、帰った……のよね?」 「大丈夫。それが正常な反応だよ。 みんな、最初はそんな感じだった」 シンクロ率400%オーバーの黒川学級は、懐かしむようにしみじみと深く頷いた。 「……学級委員長の方は、いつも対応はどうしてるの?」 「え?」 黒川学級の学級長、影薄君(仮名)は、唐突に質問されて答えにつまる。 「あなたが、学級長なのね。 これでは授業が成立していないわ。 指示したりしないの?」 「い、いやー、まあ各自自習してたらいいかなと……」 「そんなの、学校という環境があるのに、非効率的だわ。 今日一日でいいから、私に任せてもらえないかしら?」 クラスのみんなは、その自信たっぷりな言い様に、あっさりと承諾した。 て、転校初日から、なんだこのカリスマ性は……!
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1234人が本棚に入れています
本棚に追加