第5話

13/29
前へ
/197ページ
次へ
「げぇ……」 「な、なんで……」 みんなのリアクションで、勘のいい人ならもう分かったかもしれない。 そう、やつだ。 「お、悠樹たちじゃねーか! あ、そっか、今日プール行くのか」 何やらいつもよりはるかにまともな私服姿で、信二は俺たちの元に駆け寄ってきた。 「近寄らないでくれるかしら?」 「消えて無くなってー♪」 「しっしっし! こっち来ないでよバカ信二!」 「どっか行けよ」 「……というのが俺たちの総意です」 「ヒデェ……俺だって好き好んで外出してるんじゃねぇのに……」 そう言えば、なぜここにこいつがいるのか。 口ぶりからして、俺たちがここにいるからではないようだけど。 癪だけど、聞いてみた。 「で、どうしてここに?」 「はぁ……まあ、お見合ってやつだ」 「「「「お、おおおお見合い!?」」」」 今世紀最大の驚きであったことは言うまでもない。 いっそ、こいつが『お見合い』という言葉の意味をはき違えている方が、よっぽど自然だ。 「でも、あまり気のりしていなさそうね」 「毎度毎度、桜花たちの足元にも及ばないような見た目の子たちに、こっぴどく引かれて罵倒されるんだぜ……そりゃテンションあがらねーよ」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1234人が本棚に入れています
本棚に追加