第5話

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「! こんのぉ……!」 「落ち着けって……」 悟志たちも間に入り、なんとか事態は鎮火出来たけど…… 一触即発だな。 「――で、改めて」 「加賀谷 紗奈(かがや さな)だ」 本から目を離さず、表情の全く見えない声で紗奈はそう言った。 「えっと、俺は……「神木 悠樹、か?」 「ちょ、まだ私たち名乗ってないわよ!?」 「神木 悠樹、天織 桜花、神木 美樹はこちらでも有名だからな」 「え……?」 おいおい、こんな遠い場所で有名なんてありえないだろう? 芸能人とかじゃないんだぞ。 「えっと、僕たち、桜坂に近いところに住んでいるんです。 それで、僕たちの学校でも、特に悠樹君が有名で……」 「流石だな?」 「やめてくれよ悟志……」 「……面白くない」 「は?」 この子は、独特というか、マイペースというか…… 話の流れに関係のないことを、突拍子も無く入れてくるな。 何が面白くないのやら、紗奈はふらふらと建物から出て行ってしまった。 「ごめんなさい……紗奈って、自分の興味を誘わないものには、とことん無関心なんです……」 「まあ、それはいいんだけど……2人はどういった関係なの?」 「恋人です」 「え!?そうなんですか?」 「とてもそんな風には見えなかったわ……」
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