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背を向けて呟いた桜花の肩は、小さく震えていた。
それが、たまらなく愛しくて。
俺は桜花を後ろから抱き締めた。
「……桜花、愛してる」
「バカ……本当にバカ……
そんな嬉しいこと言われたら、行きたくなくなっちゃうでしょ……?」
そんな嬉しいこと言われたら、行ってほしくなくなっちゃうよ。
けど、桜花の為に我慢するときなんだ。
「……そうだね」
後ろを振り返ると、瑠璃たちの姿は無かった。
……本当に気が効くよ、みんな。
ありがとう。
「そろそろ時間……だね」
「うん」
搭乗時間まで、あと3分も無い。
なんて短い時間なんだ。
この短い時間が過ぎれば、桜花に再び会うまでの長い時間が横たわっているというのに……
「ねえ……悠樹。
キスして」
もう何度もしたというのに、始めて唇を重ね合わした日と同じように、桜花は頬を染めながら上目遣いで言った。
もう、可愛すぎて可愛すぎて……
俺もかなり顔赤いと思う。
「……大好き」
「バカ……」
桜花の柔らかな唇に、俺のが重なる。
甘い……本当に甘いキス。
身を任せていると、溶けてしまいそうなくらいに。
「……今日は少し長かった」
「ごめん。足りない」
「えっ……も、もう。
しょうがないわね……」
そんなこと言いながら、桜花も嬉しそう。
内心苦笑しながら、再びキスをする。
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