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「……うん。
絶対に。絶対にだよ。
約束しよう」
俺たちは2人と抱き合い、泣きながら別れを惜しんだ。
「……じゃあな!みんな!」
「またねー!また会おうねー!」
桜花と同じように、2人は鉄の翼に運ばれて、俺たちの元を去った……
3人が日本を発って、1カ月経った。
冬の厳しい寒さは、徐々に強まってきている頃。
俺は、流華と灰音と通学路を歩く。
「だからー!
悠樹君は何も分かってませんねー!
課題なんてものは、出来て当たり前って考え方が間違ってるんですよー!ね?」
「はいはい、文句はやることこなしてから言おうね。
課題のプリントを学校に置いてるのに、家で頑張ったとは言わせないから」
「ゆ、悠樹君鬼畜ですぅ~!
ねえ灰音ちゃん!」
「悪いけど、私も一応ちゃんとやってるから……」
「う、裏切り者です……」
3人と、付き合い出して別々に登校している美樹と悟志がいなくなっても、十分に賑やかだ。
それでも……やっぱり、どこか寂しいよ。
あいて間もない左耳に付けた、銀の装飾を触りながら、やはり彼女を思い出す。
……桜花、元気かな……
「あら、相変わらずね」
長い桜坂を登り、門の前で守衛よろしく仁王立ちして俺たちを待ち受けていた人物を見て、俺は状況が理解できなかった。
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