第1話

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昔に短い時間会っただけなのに、強く脳裏に残っている。 揺れる、ふわふわパーマの明るい茶髪。 少し目尻の釣り上がった目が特徴的な、気品のある顔立ち。 胸を張って、堂々と立つその姿。 まるで西洋のお人形のような彼女は―― 「……っ……そっちこそ。 あのときからそのまま成長した感じだ。 全然雰囲気とか変わってないじゃないか」 俺たちの前に立つ稜宮 知佳(たかみや ちか)はフッと不敵な笑みを浮かべ、髪を上品に払う。 「まあ誉め言葉として受け取っておくわ。 私の芯は昔から一貫して揺らいでいないという証明だから」 「は、はは……ほんとに相変わらずだ」 「ち、ちょっとちょっと悠樹君!」 おっと、いけないいけない。 流華と灰音を忘れて話してたよ。 「ああ、ごめん。 ほら、桜坂祭の前に美樹の話したでしょ? その話で出てきた、知佳だよ」 「はじめまして、稜宮 知佳よ。 あなたたちは……悠樹君の友達ね? よろしく」 初めて俺が知佳と会ったときと同じように、知佳は礼儀正しく2人に握手の手を差し伸べた。 2人もその礼儀正しさに少し流されて、何ともぎこちなく握手をした。 「は、はじめまして。 奏 流華です」 「私は七瀬 灰音よ。 よろしくね」 ……さて、お互いに紹介を済ませたところで、いろいろ聞くことがあるな。
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