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昔に短い時間会っただけなのに、強く脳裏に残っている。
揺れる、ふわふわパーマの明るい茶髪。
少し目尻の釣り上がった目が特徴的な、気品のある顔立ち。
胸を張って、堂々と立つその姿。
まるで西洋のお人形のような彼女は――
「……っ……そっちこそ。
あのときからそのまま成長した感じだ。
全然雰囲気とか変わってないじゃないか」
俺たちの前に立つ稜宮 知佳(たかみや ちか)はフッと不敵な笑みを浮かべ、髪を上品に払う。
「まあ誉め言葉として受け取っておくわ。
私の芯は昔から一貫して揺らいでいないという証明だから」
「は、はは……ほんとに相変わらずだ」
「ち、ちょっとちょっと悠樹君!」
おっと、いけないいけない。
流華と灰音を忘れて話してたよ。
「ああ、ごめん。
ほら、桜坂祭の前に美樹の話したでしょ?
その話で出てきた、知佳だよ」
「はじめまして、稜宮 知佳よ。
あなたたちは……悠樹君の友達ね?
よろしく」
初めて俺が知佳と会ったときと同じように、知佳は礼儀正しく2人に握手の手を差し伸べた。
2人もその礼儀正しさに少し流されて、何ともぎこちなく握手をした。
「は、はじめまして。
奏 流華です」
「私は七瀬 灰音よ。
よろしくね」
……さて、お互いに紹介を済ませたところで、いろいろ聞くことがあるな。
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