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「はっはっは!
待っていたぞ、知佳ちゃん!」
「悠治さん……?
なるほど、悠樹君たちの反応にも得心しました。
お久しぶりです」
いつも通り、校長室特有のあの茶色くて風格ある椅子に深く腰かけて大きく笑う父さんに、知佳は頭を下げた。
なに、なんなの?
面識あるの?
「全く。
悠樹がいるからという理由だけでこの学校を選ぶなんて、本当によかったのか?」
「ええ。
それに……単なる結果ですが、この学校は全て素晴らしいです。
恵まれた環境、生徒、そして校長。
非の打ち所がありません」
「はっはっは!誉めるな誉めるな!
照れるじゃないか!」
いやいや……どう聞いても、社交辞令じゃないか。
とか、茅の外の俺は思ってた。
「それじゃあ、改めて歓迎しようか!
日本へ、桜坂学園へようこそ知佳ちゃん!」
「ありがとうございます。
お世話になります」
父さん相手に疲れたそぶりも見せず、知佳は会話を終えた。
あの父さんと、こんなに自然に話せるなんて……なんて技量なんだ。
次に職員室でいろいろと先生からの説明を受けてから、俺たちは知佳とそこで別れた。
「いやー、知佳ちゃん、キャラ濃いですねー」
「全くだわ。
けど……悠樹とどこか似てるわね」
「あっ、私もそんな気がしてました!」
教室への道中、廊下で2人は俺を挟んで話に熱中している。
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